この事例は、工場の現品票ファイルに鋼材名称を表示した整頓事例で、専門家評価はDランク(28点)。配置と色分けが課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場(製造現場の現品票管理) |
| 改善対象 | 情報(現品票のファイル) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 探すムダを削減。1日平均15秒短縮×月20日の発生で、1カ月あたり300秒(300円)の削減(改善報告の試算) |
| 費用 | かけずに実施できた(専門家評価による) |
改善前の状態(Before)
製造現場の現品票を、鋼材別にファイリングしていましたが、ファイルに鋼材の名称の表示がありませんでした。そのため、必要な情報を探すのに時間がかかり、時には誤った鋼材の現品票を使うリスクもありました。

改善内容(After)
現品票のファイルに、鋼材名称を明示しました。既存のファイリングをそのまま活かしています。必要な現品票にすぐ手が届くようになり、確認作業の効率化と正確性の向上が同時に実現しています。改善報告の試算では、1日平均15秒の短縮、月20日の発生で、1カ月あたり300秒の削減です。

専門家コメント
改善活動、ありがとうございます。製造現場の現品票管理において、ファイルに鋼材名称を明示するという改善を実施されました。この取り組みは、書類管理における5S「整頓」の模範例であり、情報へのアクセス性を向上させています。
現品票は、製造管理に必要な書類です。鋼材別にファイリングしていても、表示がなければ必要な情報を探すのに時間がかかり、時には誤った鋼材の現品票を使うリスクもありました。今回の改善により、必要な現品票に即座にアクセスでき、確認作業の効率化と正確性向上を同時に実現されています。
特に評価できる点は、既存のファイリングシステムを活かしながら、最小限の工夫で最大の効果を生み出したことです。費用をかけずに実施できる改善は、他部署への水平展開も容易です。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:探す時間の短縮に加え、誤った鋼材の現品票を使うリスクを減らせた点は評価できる。ただし、削減できる時間は1日15秒、月300秒(300円)と小さい。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:ファイルに名称を表示する方法は、整頓の基本的な取り組みで、他にも似た改善が多い。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:既存のファイリングをそのまま活かし、費用をかけずに実施できた。特別な技術や設備を要しない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:名称の表示で、誤った現品票を使うリスクは減った。ただ、ファイルの並び順や戻す位置のルールがなく、鋼材の種類が増えたときの対応も決まっていない。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:ファイルの使い方や、新しい鋼材が増えたときの表示の付け方を標準化した記述がない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「名称が分かるようになった」改善です。上のランクに進むために必要なのは、表示を増やすことではありません。取り違えや探し直しが、この先も起きない仕組みにすることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、改善そのものの中身(成果・独自性・難易度)を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
成果や独自性を上げるには新しい発想や時間が要りますが、清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。現品票のファイルも、起きてから直す「後追い」になりがちです。取り違えたら差し替える。探しにくくなったら並べ直す。これでは、整えた後で、また同じ状態になります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、取り違えようのない配置・表示・色にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Cの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 鋼材の種類が増え、ファイルが探しにくくなる | 増えてから並べ直す | 使用頻度の高い鋼材のファイルを手前に配置する(専門家の案) |
| 似た鋼材の現品票を取り違える | 気づいたときに差し替える | 鋼材グループごとに色分けタブを付け、ファイルの色管理を行う(専門家の案) |
| ファイルが、元と違う位置に戻る | 見つけた人が戻す | 置き場にも同じ鋼材名称を表示し、元の位置が分かるようにする(例) |
| 紙のファイルだけでは、探しにくさが残る | そのつど、めくって探す | デジタル管理と併用し、検索性を上げる(専門家の案) |
上の表の1、2、4行目は専門家が挙げた「さらなる改善」に沿ったもので、3行目は例です。大切なのは、右の列の発想で「この整頓が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。現品票は製造管理に必要な書類なので、ファイルの管理方法を変えるときは、製造・品質の担当者と確認してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 新しい鋼材が増えたときの、名称の表示の付け方を決めて周知する
- 使ったファイルを元の位置に戻すことを、ファイルの置き場に掲示する
- 費用をかけずにできる改善なので、他部署へ広げるときも同じ表示のやり方を使う
次の改善報告で期待すること
専門家は、次なる改善として、次の4つを挙げています。
- 使用頻度の高い鋼材のファイルを手前に配置する
- 鋼材グループごとの色分けタブを追加する
- ファイルの色管理を実施し、間違いを防止する
- デジタル管理との併用により、検索性を向上させる
現場の困りごとに向き合い、シンプルな解決策を実行された姿勢は評価できます。この成功を起点に、継続的な文書管理の改善を進めてください。
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