この事例は、オフィスの受付下にある備品棚を整理して探すムダを減らした整理事例で、専門家評価はDランク(28点)。維持の仕組みが課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理 |
| 改善場所 | オフィス(受付下) |
| 改善対象 | 棚(事務所の備品保管棚) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 探すムダを削減。1日平均30秒短縮×月20日の発生で、1カ月あたり600秒の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
受付下の棚は、事務所の備品を保管する棚です。事務所の棚には、多種多様な備品が混在しやすく、必要な物を探すムダが生じていました。

改善内容(After)
受付下の棚を整理しました。必要な物をすぐに見つけられる環境が整い、日常業務の効率化が進んでいます。改善報告の試算では、探すムダは1日平均30秒の短縮、月20日の発生で、1カ月あたり600秒の削減です。

専門家コメント
改善活動、ありがとうございます。事務所の備品保管棚を整理した改善事例ですね。
多種多様な備品が混在しやすい事務所の棚を整理することで、必要な物をすぐに見つけられる環境が整い、日常業務の効率化が進みました。
専門家は、取り出しやすい備品棚にするための3つのポイントも示しています。この記事の後半で、点数と合わせて紹介します。今後もさらに使いやすい環境を目指していきましょう!
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:探すムダを、1日平均30秒、月600秒削減できた点は評価できる。ただし、削減できる時間は小さく、業務全体への影響は限定的。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:備品棚を整理して探しやすくするのは、5Sの基本的な取り組み。他にも似た改善が多く、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:混在した備品を選り分けて整理する作業が中心で、特別な技術や設備は要しない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:備品が混在しやすい棚であるにもかかわらず、整った状態を保つ仕組みの記述がない。時間がたてば、また乱れる可能性が高い。「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:「使ったら元の場所へ」のルールや、定期的な見直しを標準化した記述がない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「棚の中を整えた」改善です。上のランクに進むために必要なのは、もう一度整理することではありません。整った状態が、誰が使っても崩れないようにすることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、改善そのものの中身(成果・独自性・難易度)を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | D(4点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 52点 | B |
成果や独自性を上げるには新しい発想や時間が要りますが、清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。
取り出しやすい備品棚にする3つのポイント
専門家は、次の3つを挙げています。
- 使用頻度に応じた配置:よく使う備品は目線から腰の高さに、重い物は下段、軽い物は上段に配置する
- 見やすさの工夫:透明ケースや浅い箱を使い、奥の物まで一目で見渡せるようにする。ラベル表示や写真付きの案内を活用し、誰でも迷わず目的の備品を見つけられるようにする
- 整頓維持の仕組み化:「使ったら元の場所へ」のルールを徹底し、月1回の見直しタイムを設定する。理想の状態を写真で残しておくと、誰でも元の状態に戻しやすくなる
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。棚の乱れも、起きてから直す「後追い」になりがちです。混ざったら並べ直す。見つからなければ探し回る。これでは、整理した後で、また同じ状態になります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、乱れようのない配置・表示・手順にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 使う頻度の違う備品が混在し、探しにくくなる | 気づいたときに並べ替える | 使用頻度に応じて配置を決める。よく使う物は目線から腰の高さ、重い物は下段、軽い物は上段(専門家のポイント) |
| 奥の物が見えず、探すのに時間がかかる | 棚の中を探し回る | 透明ケースや浅い箱を使い、ラベルや写真付きの案内で、誰でも迷わず見つけられるようにする(専門家のポイント) |
| 使った後に、元の場所へ戻らない | 気づいた人が戻す | 置き場所を表示し、理想の状態を写真で残す。月1回の見直しタイムを設ける(専門家のポイント) |
| 備品が増えて、棚に入りきらなくなる | 入りきらなくなってから整理し直す | 置ける量の上限を決めて棚に表示し、増えるときは何かを減らすルールにする(例) |
上の表の上3行は専門家が挙げたポイントに沿ったもので、4行目は例です。大切なのは、右の列の発想で「この棚が乱れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 「使ったら元の場所へ」のルールを、棚のそばに掲示する
- 月1回の見直しタイムを、予定として先に決めておく
- 理想の状態の写真を棚の近くに貼り、誰でも元の状態に戻せるようにする
次の改善報告で期待すること
専門家は「今後もさらに使いやすい環境を目指していきましょう」と述べています。次の報告では、次の3点を確認してください。
- 備品の配置が、使用頻度に合っているか
- 奥の物まで見渡せ、誰でも迷わず見つけられる表示になっているか
- 「使ったら元の場所へ」を守る仕組みと、月1回の見直しが回っているか
維持の仕組みまで踏み込んだ取り組みを、楽しみにしています。
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