この事例は、工場の機械前に敷いた段ボールを入れ替えた清掃事例で、専門家評価はDランク(20点)。油が床に落ちる原因を探ることが課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃 |
| 改善場所 | 工場(機械の前) |
| 改善対象 | 床面(機械前の段ボール) |
| 専門家評価 | Dランク(20点。Dは30点以下) |
| 効果 | 機械前の段ボールを新しくした(改善報告に数値の記載なし) |
改善前の状態(Before)
機械の前に、段ボールが敷かれていました。専門家は、足元が油で汚れるために置かれているのだろう、と見ています。

改善内容(After)
機械前の段ボールを、入れ替えました。専門家は、これで気分も新たに作業できるでしょう、と述べています。

専門家コメント
機械の前に敷いている段ボールを入れ替えて、新しくした事例です。改善活動、ありがとうございます。これで、気分も新たに作業できますね。
ただ、なぜここに段ボールを敷く必要があるのかを、一度考えていただければと思います。多分、足元が油で汚れるために置かれていると思うのですが、では、そもそも床が油で汚れる理由は何でしょう。その部分をもう少し掘り下げて、根本的な解決策を見つけて、対策をしていただくとよいと思います。
たとえば、機械から油が落ちてくるのであれば、なぜ機械から油が落ちてくるのか。作業中にどうしても油が落ちるのであれば、なぜ作業中に油が床に落ちるのか。を考えていただければと思います。
油は、消耗品とはいえ、お金を払って購入している物です。そのお金を無駄にしないためにも、引き続き、改善活動をがんばっていきましょう。
5S改善評価:合計20点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | D | 4点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 20点 |
(1)成果の大きさ:D(4点)
理由:機械前の段ボールを新しくし、足元の環境が整って気分よく作業できる点は評価できる。一方で、油が落ちる原因は手つかずで、効果を示す数値も改善報告になく、成果は限定的。「成果は比較的小さい改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:汚れた段ボールを新しい段ボールに入れ替えるのは、誰でも思いつく取り組みで、目新しさはない。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:段ボールの入れ替えは、特別な技術や設備を要さず、短時間でできる。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:油が床に落ちる原因が残っているため、新しい段ボールも、いずれ汚れる。交換を繰り返すだけで、すぐ乱れる。「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:段ボールを入れ替える基準や周期、油が落ちる原因を調べる手順などのルールは、改善報告に記載がない。単発の改善といえる。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「汚れたら入れ替える」の繰り返しになりやすい点が課題です。上のランクに進むために必要なのは、段ボールを、より頻繁に替えることではありません。この仕組みが、この先も崩れないようにすることです。
点数で見る「上げ方」
20点のこの事例は、成果・独自性・難易度を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 20点 | D |
| 清潔・習慣をともにBまで上げる | B(12点) | B(12点) | 36点 | C |
| 清潔・習慣をともにSまで上げる | S(20点) | S(20点) | 52点 | B |
成果や独自性を上げるには新しい発想や時間が要りますが、清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。あと11点でCランク、清潔と習慣をSまで整えればBランクに届きます。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。段ボールが汚れたら交換する。これは、起きてから直す「後追い」です。交換のたびに、段ボールと手間が必要で、油が落ちる原因は変わりません。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつける」「声をかける」に頼らず、段ボールを敷かなくても床が汚れない、つまり油が落ちない・落ちても広がらない仕組みにすることです。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 機械から油が落ちる | 段ボールを敷いて、汚れたら替える | 油が落ちる箇所と、原因を調べる(専門家の問いかけ)。原因に応じて、受け皿やカバーなどで発生源のところで受ける方法を検討する(例)。設備の変更は、設備・安全の担当者と確認する |
| 作業中に、油が床に落ちる | 落ちたら拭く | どの動作のときに落ちるのかを観察し、作業の手順や道具を見直す(例) |
| 段ボールが汚れたまま使われる | 汚れているのに気づいたら替える | 入れ替えの目安(汚れの程度や日)を決め、その場に表示する(例)。目安を決めることで、交換の抜けを防ぐ |
| 購入した油が、無駄になる | 減ったときに補充する | 落ちて減る油の量を、記録して把握する(例)。専門家が指摘する「お金を払って購入している油」の損失を、見える形にする |
上の表は例です。専門家が挙げる「なぜ機械から油が落ちるのか」「なぜ作業中に床に落ちるのか」の2つの問いに、職場の仲間と答えることが、最初の一歩になります。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 段ボールの入れ替えの基準と周期を決めて、その場に掲示する
- 油が落ちる箇所と原因の調べ方を、手順としてまとめて共有する
- 新しく入った人にも分かるよう、段ボールを敷く理由と扱い方を周知する
次の改善報告で期待すること
専門家は、次の視点で考えるよう求めています。
- なぜここに段ボールを敷く必要があるのか
- そもそも、床が油で汚れる理由は何か
- 機械から油が落ちる理由、作業中に油が床に落ちる理由は何か
根本的な解決策を見つけて対策をした、次の改善報告を期待しています。
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