この事例は、機械の後ろにある加圧計を、ミラーで正面から確認できるようにした整頓事例で、専門家評価はBランク(52点)。機械の後ろへ回る歩行のムダをなくした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 治具(計器を確認するためのミラー) |
| 専門家評価 | Bランク(52点。Bは46〜65点) |
| 効果 | エアの圧力計を確認するための歩行のムダをなくした。1日20秒×3回=60秒、月60秒×20日=1200秒、1カ月あたり1200円の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
機械のエアの圧力を確認するための圧力計(加圧計)は、機械の後ろ側に設置されていました。そのため、圧力を確認するたびに、作業者は機械の正面を離れ、左後ろまで回り込んで計器を見ていました。
確認は1日に3回あり、1回あたり20秒ほどの移動が発生していました。1回だけなら小さな時間ですが、毎日くり返される「確認のための歩行」です。

改善内容(After)
機械にミラーを取り付け、正面にいながら、後ろに設置されているエアの圧力計を確認できるようにしました。後ろへ回り込む必要がなくなり、1日3回の確認にかかっていた歩行のムダがなくなりました。
使ったのは、ミラーというコストの安い治具です。計器を動かさず、「計器が見える位置を作る」という発想で解決しています。

専門家コメント
エアーの圧力を確認するために、機械の左後ろまで回って確認していた状況を、ミラーを取り付けることによって、機械の正面にいながら、後ろに設置されているエアの圧力計を確認できるようにした改善ですね。
後ろに回ってエアーの圧力をチェックする手間を、ミラーというコストの安いジグを設置することで、作業の生産性を向上させた素晴らしい改善事例だと感じました。素晴らしい改善事例をありがとうございました。
さて、今後の改善提案ですが、ぜひこの手法の横展開を考えていただければと思います。工場の中では各種の計器の確認が必要となりますが、今回のように計器の設置されている場所まで移動していかないと見えないという箇所が多々あると思います。
そのような中、今回のようなミラーという画期的な手法を用いることで生産性を向上させた事例は、どこの現場でも欲しているアイデアのはずです。ぜひ、工場全体にミラーがたくさん設置され、人が動かずにいろんな計器を確認できる素晴らしい状況を作り上げていただければと思います。
では、次なる改善を楽しみにお待ちしております。
5S改善評価:合計52点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | A | 16点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 52点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:1日3回、毎日発生していた「機械の後ろへ回る歩行」をなくし、改善報告の試算で月1200秒(1200円)の削減。確認の手間そのものが減り、作業の生産性向上に直結している。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:A(16点)
理由:計器を移設するのではなく、ミラーで「見える位置」を作るという発想は、専門家も「画期的な手法」と評価している。どこの現場でも求められるアイデアである。「やや発想が困難な改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:コストの安いミラーを取り付けることで実現している。大きな工数を必要としない改善。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:ミラーによって回り込みの必要はなくなったが、ミラーの向きがずれたり、汚れたりすると、再び見えにくくなる。何かのきっかけで元の状態に戻るおそれがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:ミラーを使った確認の手順や、ミラーの点検・清掃のルールについては、改善報告に記載がない。ルールが整えば、レベルアップできる。「ルール未整備」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、小さな道具ひとつで、毎日のムダを確実になくした改善です。特に次の3点を、しっかり評価したいと思います。
- 「人が動く」のではなく「見える位置を作る」で解決した。計器はそのままに、ミラーで視線の届く位置を作っています
- コストが安く、すぐ真似できる。専門家も、どこの現場でも欲しているアイデアだとしています。計器の確認がある職場なら、どこでも応用できます
- 独自性がA(16点)。「確認のための歩行」という、見過ごされがちなムダに気づいた点も含めて評価されています
あと14点でAランク。清潔と習慣を2段階ずつ上げる
合計52点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと14点です。難易度は「簡単にできる」ことがこの改善の良さでもあるので、伸ばすなら清潔と習慣です。習慣(しつけ)をC(8点)からA(16点)に上げると60点。さらに清潔をC(8点)からA(16点)に上げると68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 52点 | B |
| 習慣をAに | C(8点) | A(16点) | 60点 | B |
| 清潔と習慣をAに | A(16点) | A(16点) | 68点 | A |
習慣をAに上げる近道は、専門家の提案どおり、この手法の横展開です。工場の中で「移動しないと見えない計器」を洗い出し、ミラーの付け方と確認の手順を標準にして、他の機械にも広げていきます。
「ミラーがずれる・汚れる・見落とす」を、起きる前に防ぐ
ミラーは付けて終わりではありません。ずれたり曇ったりしてから直すのは「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて見る」に頼らず、ずれや見落としが起きない形にしておきます。次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| ミラーの向きがずれて、計器が見えなくなる | 正しい向きに合わせマークを付け、ずれたら一目で分かるようにする |
| ミラー越しだと、数値を読み違える | 圧力計の正常範囲に色の表示を付け、針の位置だけで良否を判断できるようにする |
| ミラーが汚れ・曇りで見えにくくなる | ミラーの清掃と向きの確認を、日常点検の項目に入れる |
| 他の機械で同じムダが残る | 移動しないと見えない計器を一覧にし、順番にミラーを展開する |
機械への取り付けや計器への表示は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。
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