この事例は、作業台の下のスペースに工具収納コーナーを設けた整頓事例で、専門家評価はBランク(48点)。工具を取りに行くムダがなくなった。あと18点で、Aランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(作業用工具) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 工具を取りに行く時間を、1日平均27秒短縮×月20日。1カ月あたり540秒(540円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
作業中に必要な工具が離れた場所に置かれていたため、工具を使うたびに取りに行く必要があり、そのたびに作業が中断されていました。
工具を取りに行く往復は、1回ごとには短い時間です。しかし、作業のたびに繰り返されるため、積み重なると大きなムダになります。作業の流れが途切れることで、集中も途切れやすくなります。

改善内容(After)
作業台の下のスペースを有効活用して、すぐ手の届く場所に工具収納コーナーを設けました。作業台の真下に置いたことで、工具を取りに行くというムダがなくなりました。改善報告の試算では、1日平均27秒の短縮×月20日で、1カ月あたり540秒(540円)の削減です。

専門家コメント
作業中に必要な工具が離れた場所にあって、そのたびに作業が中断されていた状態から、作業台の下のスペースを有効活用してすぐ手の届く場所に工具収納コーナーを設けた改善ですね!
これはまさに「ムダの排除」と「動作の最短化」につながる、作業効率アップの基本に忠実な改善です。現場の動きに目を向けてくれた視点に感謝します。
5S活動では「決めた場所に、決めた物を、決めた形で」が基本です。ぜひこの考え方を活かして、さらなる改善へとつなげてください!
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:工具を取りに行くたびに作業が中断されていた非効率な状態を改善し、作業台のすぐ下に収納スペースを設けたことで、作業の流れを止めずに必要な工具を取れるようになり、作業効率が明確に向上した。ただし、生産性全体や品質、安全面への波及は限定的なため、「満足のいく成果である改善」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:使いやすい場所に収納を設けるという発想は、5Sの整頓活動における基本的な考え方であり、特に発想が困難な改善ではない。類似の改善も多く見られるため、「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:作業台下のスペースを活用するための棚や容器の設置には、多少の時間や準備は必要だが、作業自体は比較的シンプルで、1時間以内で実施可能な内容と考えられる。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:収納場所を新たに設けたことで、一時的には整頓状態が保たれるが、収納物の位置が明確でなかったり、使用後に戻すルールが曖昧だと、再び乱雑になる恐れがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:現在の状態では、工具の収納位置や戻し方に関する表示・ルール・点検などが明確にされていないと推測されるため、整頓状態の維持が属人化する可能性がある。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- 「動作」に目を向けた。置き場をきれいにするだけでなく、工具を取りに行くという人の動きのムダに気づいたことが、この改善の出発点です
- 使う場所のすぐそばに置いた。作業台の真下という、手を伸ばせば届く位置を選んだことで、作業の流れを止めずに済むようになりました
- 空いていたスペースを活かした。新たに場所を確保するのではなく、作業台の下という使われていなかった空間を有効に使っています
- 効果を数字で示した。1日27秒、1カ月540秒という数字があるので、改善の価値を誰にでも説明できます
あと18点でAランク。清潔と習慣をAに、独自性を1段階上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。清潔レベルと習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると合計64点。さらに改善の独自性をC(8点)からB(12点)に上げると、合計68点でAランクに届きます。
| 上げ方 | 独自性 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔・習慣をAに上げる | C(8点) | A(16点) | A(16点) | 64点 | B |
| さらに独自性を1段階上げる | B(12点) | A(16点) | A(16点) | 68点 | A |
「戻し忘れ」と「置き場の乱れ」を、起きる前に防ぐ
置き場を作業台の下に移したことで、「取りに行く」ムダはなくなりました。次は、その置き場が乱れない仕組みです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「使ったら戻すよう気をつける」に頼らず、戻す位置が自然に分かる形にします。
専門家が挙げた「今後の改善ポイント」は、次の3つです。
- 工具ごとに定位置を明示する(ラベルや型取り)
- 使用後に元に戻すルールを明文化する
- 整頓状態をチェックする仕組みを導入する
たとえば、工具の形に合わせたシルエット(型取り)で戻す位置を示せば、工具が欠けているとすぐに分かり、別の工具を置くこともできなくなります。これは3定(定置・定品・定量)の考え方そのものです。さらに、作業の終わりに置き場を確認する手順を決め、誰がやっても同じ状態に戻せるようにすれば、習慣(しつけ)のレベルも上がります。次の改善報告では、“誰が使っても乱れない”置き場の工夫を、ぜひ聞かせてください。
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