【5S 整頓事例】工具掛けを網棚にして工具の有無が一目で分かる|評価Aランク(工場)

この事例は、工場の工具掛けの背板をベニヤ板から網に変えた整頓事例で、専門家評価はAランク(68点)。工具の有無がどこからでも分かるようになった。次の課題は、工具が出払ったときの戻し先の分かりやすさ。


項目 内容
改善の種類 整頓
改善場所 工場
改善対象 工具/備品(工具の吊り下げボード)
専門家評価 Aランク(68点。Aは66〜80点)
効果 工具の有無がどこからでも分かるようになった。1日平均3秒短縮×月5日発生で、1カ月あたり15秒(15円)の削減(改善報告の試算)
目次

改善前の状態(Before)

改善前は、ベニヤ板に工具を掛け、形跡整頓(工具の形を描いて置き場を示す方法)をしていました。整頓自体はできていましたが、大きなベニヤ板が奥の視界をさえぎり、作業場全体の採光や見通しが悪くなるという新しい課題が出ていました。

5S 整頓 工具掛け ベニヤ板 形跡整頓 改善前 工場
【改善前】ベニヤ板に形跡整頓すると視界が悪くなった

改善内容(After)

工具を掛ける背板を、ベニヤ板から網目状のメッシュパネルに変えました。視界が良くなり、工具の有無が判りやすくなっています。表側からだけでなく、裏側や遠くからでも、工具が戻っているか一目で分かります。

5S 整頓 工具掛け メッシュパネル 改善後 工場
【改善後】ベニヤ板を網に変えると視界が良くなり、工具の有無が判りやすい

専門家コメント

工具の吊り下げボードをベニヤ板からメッシュパネル(網)へ変更し、視界の確保と管理のしやすさを両立させた素晴らしい改善事例ですね。

改善前の状態では、形跡整頓(姿置き)自体はできていたものの、大きなベニヤ板によって奥の視界が遮られ、作業場全体の採光や見通しが悪くなるという新たな課題が発生していました。背板を網目状のパネルに変更したことで、現場の死角がなくなって明るくなり、何より「工具の有無がどこからでも判るようになった」という見事な効果につながっています。表側からだけでなく、裏側や遠くからでも一目で戻っているかが判るため、探すムダや確認の手間が激減しますね。

「5Sをやったら視界的・安全的に邪魔になった」という現場の違和感を放置せず、素材を見直してさらに進化させた柔軟なアイデアと行動力が大変素晴らしいです。改善活動お疲れ様でした。

5S改善評価:合計68点(Aランク)

評価項目 評価 点数
(1)成果の大きさ A 16点
(2)改善の独自性 A 16点
(3)改善の難易度 B 12点
(4)清潔レベル B 12点
(5)習慣(しつけ)レベル B 12点
合計 A 68点

(1)成果の大きさ:A(16点)

理由:時間の削減は小さいが、死角がなくなり、採光と見通しが改善した。工具の有無をどこからでも確認でき、探すムダや確認の手間が減る。「やや大きい成果」と評価する。

(2)改善の独自性:A(16点)

理由:整頓をしたことで生まれた新しい問題(視界の悪化)に気づき、素材そのものを見直した発想は、「やや発想が困難な改善」と評価する。

(3)改善の難易度:B(12点)

理由:背板の素材変更には材料の選定と取り付けが必要だが、大きな工事ではない。「標準的な時間でできた改善」と評価する。

(4)清潔レベル:B(12点)

理由:工具の有無は分かるようになったが、工具が出払ったとき、元々何が掛かっていたかが分かりにくくなる可能性が残る。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。

(5)習慣(しつけ)レベル:B(12点)

理由:戻す場所は網の形で分かるが、名札や色合わせなど、誰もが同じように戻すための標準化はこれから。次の一歩を加えれば、さらに上がる。

この事例を自社で真似する手順

以下は、この事例を参考にした一般的な進め方の例です。

  1. 工具掛けで、整頓はできているのに使いにくい点(視界、採光、死角)がないか確認する
  2. 背板を網(メッシュパネル)に変えられるか検討する。取り付け方法と耐荷重は、設備や安全の担当者と相談して決める
  3. 工具を掛け直し、離れた場所から有無が分かるか実際に確かめる
  4. 名札や色合わせを付け、工具が出払っていても戻し先が分かるようにする

Sランクに近づくための次の一歩

網にすると「空いている」ことは一目で分かります。次に考えたいのは、工具が出払ったときにも、何が掛かっていたかが分かる仕組みです。清潔レベルで上位を取るには、起きてから気づくのではなく、迷いが起きない仕組みを先に作る「未然防止」の視点が要ります。

  • フックの根元やメッシュ部分に名札(ネームタグ)を付ける
  • 工具のハンドルとフック側に同じ色のカラーテープを巻き、色合わせで戻せるようにする

工具があるときは色と形で正しく掛かっているかが分かり、ないときは名札や色で「何が出ているか」がすぐ分かります。専門家はこれを「欠品位置のアドレス化」と呼んでいます。

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この記事を書いた専門家

昭和61年静岡大学工学部卒業後、大手装置メーカーに入社する。 入社後、生産ライン構築業務に携わり、品質改善・コスト削減に取り組む。 その後、ソフトウエア商品開発業務に携わり、プロジェクトリーダーとして新商品の開発から上市、販売まで手掛ける。5S-CONCEPTでは、これまでに5S活動の改善事例271件を評価(2026年9月27日時点)。

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