この事例は、絡まって置かれていたケーブル類を種類・長さごとに巻き取って保管した整頓事例で、専門家評価はDランク(28点)。探す手間は減ったが、維持の仕組みは次の課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場(PPバンド置場) |
| 改善対象 | 工具/備品(黄色と青のケーブル類) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 探すムダが1日平均で84秒短縮 |
改善前の状態(Before)
黄色と青のケーブル類が、乱雑に絡まり合った状態で保管されていました。使いたいケーブルを取り出すたびに、ほどいたり探したりする手間がかかる状態でした。

改善内容(After)
ケーブル類を、種類や長さごとに整理して巻き取り、取り出しやすい状態で保管する方式に変更しました。探す手間が省け、探すムダが1日平均で84秒短縮されました。

専門家コメント
乱雑に絡まり合った状態で保管されていた黄色と青のケーブル類を、種類や長さごとに整理して巻き取り、取り出しやすい状態で保管する方式に変更して、探す手間を省いた改善ですね。
ケーブルがスムーズに取り出せることで、作業効率が上がり、無駄な時間が削減されましたね! こうした細かい部分の改善が積み重なることで、職場全体のパフォーマンス向上につながります。本当に素晴らしい取り組み、ありがとうございます。
次に考えたいのは、今回の改善をどう維持するかです。例えば「どこに、どのケーブルを置くか」を明確にするために、ラベルを貼ったり、巻き取り方法を標準化すると、乱れを防ぐ効果が期待できます。さらに、定期的な点検や、使った後の返却ルールを決めて、「整頓」と「清潔」を維持する仕組みも重要です。こうすることで、どの作業者が使っても常に同じ状態が保たれる環境が作れますね。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:探すムダが1日平均で84秒短縮された点は評価できる。ただ、短縮できた時間は1日あたり2分に満たず、作業全体の生産性やコストへの影響は限定的。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:ケーブルを種類や長さで分けて巻き取り、取り出しやすく保管する方法は、整頓の基本的な考え方。他にも似た改善が多く、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:ケーブルを分けて巻き取る作業が中心で、特別な技術や長い時間を要するものではない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:置き場所を示すラベルや、巻き取り方のルールがなければ、使ううちにまた絡まったり、別の場所に置かれたりする。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:使ったあとの返却ルールや、定期的な点検の仕組みが報告に書かれていない。皆が同じ巻き方・置き方をそろえる標準化には進んでおらず、「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「きれいに巻いた」時点で終わりに見えますが、本当の勝負は使った後です。上のランクに進むために必要なのは、大きな改善を足すことではありません。巻いた状態が、誰が使っても戻るようにすることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、成果・独自性・難易度を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。この2項目は、仕組みで上げられる項目です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。ケーブルの乱れも、起きてから直す「後追い」になりがちです。絡まったらほどく。見つからなければ探す。これでは、直してもまた同じことが起きます。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、絡まりや置き間違いが起きようのない構造・配置・表示にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 使ったあと、巻かずに置かれて絡まる | 見つけた人がほどいて巻き直す | 巻き取る道具や掛ける場所を決め、巻かないと収まらない形にする。巻き方を写真で掲示する |
| 別の場所にケーブルが置かれる | 気づいた人が元に戻す | ケーブルの種類・長さごとに置き場所を表示し、どこに何を置くか誰が見ても分かるようにする |
| 種類や長さが混ざり、選び直す手間が出る | 取り出すたびに確認する | 種類・長さごとに、色や札で区別して表示する。置き場ごとに入れる物を一つに決める |
| 使ったまま戻されず、どこにあるか分からなくなる | なくなってから探す | 置き場に「空き」が見える表示をつくり、戻し忘れが一目で分かるようにする。使った後の返却ルールを掲示する |
上の表は例です。専門家も「どこに、どのケーブルを置くか」の明確化と、返却ルールを挙げています。右の列の発想で「この整頓が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことが清潔レベルを上げます。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 巻き取り方と置き場所を写真付きで掲示し、誰が使っても同じ状態になるようにする
- 使った後は元の場所へ返す、という返却ルールを決めて周知する
- 点検する日を決め、乱れていたらその場で直す
次の改善報告で期待すること
専門家は、この状態を保つ視点として次の点を挙げています。
- 「どこに、どのケーブルを置くか」を、ラベルなどで明確にしているか
- 巻き取り方法を標準化しているか
- 定期的な点検と、使った後の返却ルールがあるか
今回の改善を維持しながら、次の改善に取り組んでください。次の報告を楽しみにしています。
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