この事例は、完成品ケースをキャスター付きの専用台車でそのまま運べるようにした整頓事例で、専門家評価はBランク(52点)。1ケースずつ持ち上げる負担がなくなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 完成品(完成品を入れたケース) |
| 専門家評価 | Bランク(52点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 1ケースずつ持ち上げて移動する必要がなくなり、移動時間が短縮。ケースを持ち上げる負担も大幅に軽減された |
改善前の状態(Before)
完成品を入れたケースは、板台に乗せて移動していました。ケースには重量があり、移動のたびに1ケースずつ持ち上げる必要がありました。持ち上げ作業が大変で、時間もかかる非効率な状態でした。

改善内容(After)
完成品ケース専用の台車を作成し、キャスターを付けました。ケースを台車に載せたまま移動できるようになり、1ケースずつ持ち上げて運ぶ必要がなくなりました。

専門家コメント
完成品を入れたケースを板台に乗せて移動していたため、1ケースずつ持ち上げて移動する必要があり非効率的だった問題点を、キャスター付きの専用の台車を作成し、ケースをそのまま移動できるようにした改善事例ですね。
1ケースずつ移動する必要がなくなり、移動時間が短縮され、さらにケースを持ち上げる必要がなくなって作業員の負担も大幅に軽減された素晴らしい改善だと感じました。
改善活動、ご苦労様でした。
このような素晴らしい改善事例ですので、今後、工場内において全面的な展開を期待したいところです。
全面的というのは、今回のような工場の中にある製品はもちろんのこと、部品、棚、治具から軽量の製造装置まで、ありとあらゆるものを移動可能にするという意味合いです。
大きな製品も、キャスター付きの台車を複数個用意して載せれば十分に移動可能になります。単なる横展開ではなく、全面的な展開を期待しております。
次回、こんなものまでキャスター付きにしたという驚きの報告を楽しみにしておりますね。
5S改善評価:合計52点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 14点 |
| (2)改善の独自性 | C | 9点 |
| (3)改善の難易度 | B | 11点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 52点 |
(1)成果の大きさ:A(14点)
理由:1ケースずつ持ち上げて運ぶ動作がなくなり、移動時間の短縮と、持ち上げ作業の負担の大幅な軽減という2つの効果が出ている。ただし、短縮時間などの数値が改善報告にないため、帯の下側とし、「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(9点)
理由:「キャスター付きの台車に載せて運ぶ」は、運搬の改善としてよく使われる発想。一方で、汎用の台車ではなく、完成品ケースに合わせた「専用」の台車を作った点には工夫がある。そのため帯の上側とし、「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(11点)
理由:ケースに合わせた台車を作り、キャスターを取り付けるには、寸法決めや組み立ての手間がかかる。ただし、所要時間や材料の記載がないため帯の下側とし、「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:「持ち上げて運ぶ」という作業そのものを、台車という形でなくした。構造で負担を取り除いているため、元のやり方に戻りにくい。台車の置き場や使い方のルールは示されていないため、「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:台車の作成という物理的な改善が中心で、台車の使い方、置き場、点検、他の運搬作業への展開といった標準化の記述はない。専門家も「全面的な展開」を次の期待として挙げている。ルールが未整備の段階のため帯の下側とし、C評価とする。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計52点のこの事例は、Bランクの中でも、現場の負担に正面から向き合った改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「持ち上げる」動作そのものをなくした。重いケースを持ち上げるのが大変、という現場の声に、台車に載せたまま動かすという形で答えています。頑張って運ぶ、ではなく、運び方を変えた改善です
- 時間と体の負担、両方に効いた。1ケースずつの移動がなくなって移動時間が短くなり、同時に持ち上げる負担も大幅に軽くなりました。専門家も「素晴らしい改善」と評価しています
- 汎用品ではなく「専用」で作った。完成品ケースに合わせた台車にしたことで、載せる物と置き方が決まり、整頓の3定(定位・定品・定量)につなげやすい土台ができています
毎日の重い運搬を「そういうものだ」で済ませず、形にしたこと自体が、5S活動の大切な一歩です。
あと14点でAランク。習慣(しつけ)を2段階、清潔を1段階上げる
合計52点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと14点です。伸びしろが大きいのは、習慣(しつけ)レベルです。台車の使い方と置き場を決め、点検し、他の運搬作業へ展開するところまで進めれば、C(6点)からA(16点)へ+10点で、合計62点になります。さらに、次の節の未然防止の仕組みで清潔レベルをB(12点)からA(16点)に上げると+4点で、合計66点となり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 習慣 | 清潔 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(6点) | B(12点) | 52点 | B |
| 習慣をAに | A(16点) | B(12点) | 62点 | B |
| 習慣をAに+清潔をAに | A(16点) | A(16点) | 66点 | A |
専門家が期待する「全面的な展開」は、まさに習慣(しつけ)の取り組みです。良いやり方を工場の標準にしていきましょう。
「台車が動く・崩れる・ふさぐ」を、起きる前に防ぐ
次は、台車を使うことで起きうる不具合を、起きる前に防ぐ段階です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。不具合が起きてから直す「後追い」ではなく、構造・配置・表示で起きないようにします。次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 止めた台車が勝手に動き出す | ストッパー付きのキャスターにし、止めたらかける手順を決める(例) |
| 積み過ぎや偏りで、ケースが崩れる | 1台に載せるケースの数(上限)を台車に表示する(例) |
| 台車の置き場が決まらず、通路をふさぐ | 台車の定位を床の表示で決め、使い終わったら戻す(例) |
キャスターや台車の構造、通路の使い方は安全に関わるため、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。
関連する5S活動の事例
運搬・移動や置き場に関する、Aランクの事例です。



