この事例は、使用頻度の高い計測器を形跡管理で1つのケースにまとめ、検査台へ移した整頓事例で、専門家評価はBランク(48点)。棚まで取りに行く移動距離が短くなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(計測器) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 計測器を都度棚から取り出す必要がなくなり、移動距離が短縮された |
改善前の状態(Before)
検査で使う計測器は棚に置かれていて、使うたびに、その都度棚から取り出さなければなりませんでした。検査のたびに棚と検査台の間を行き来することになり、そのぶん移動の手間がかかっていました。

改善内容(After)
使用頻度の高い計測器を選び、形跡管理をしたうえで、ケースごと検査台に移しました。形跡管理とは、置く物の形をかたどって置き場所を決める方法で、どこに何を戻すかがひと目で分かります。よく使う計測器が手元にそろったことで、棚まで取りに行く必要がなくなり、移動距離が短縮されました。

専門家コメント
検査する際に必要な工具を都度ひとつずつ取り出していたものを、使用頻度の高いものを一つのケースにまとめて取り出すようにした改善ですね。
しかも、形跡整頓で個別管理までされている点は、本当に素晴らしいと感じました。素晴らしいアイデアをありがとうございました。
これによって、作業効率は大幅にアップしたこと間違いなしですね。
この改善は、工具における「必要なものを必要な時に必要な量だけ用意する」ジャストインタイムの考え方を体現した内容になっていると感じました。
部品や製品だけでなく、工具類にこの考え方を導入されることは、とても素晴らしい取り組みです。ぜひ、この考え方をほかの改善活動に活かしていただければと思います。さらなる改善がどんどん進んでいくこと間違いなしです。
では、次回の改善報告も楽しみにしています!
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:検査のたびに棚から計測器を取り出す移動がなくなり、移動距離が短縮された。専門家も「作業効率は大幅にアップ」と述べている。一方で、短縮した距離や時間の数値は改善報告に記載がなく、効果の大きさを確かめられない。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:よく使う物を手元に寄せる発想自体は、整頓でよく使われる考え方。ただし、使用頻度で計測器を選び、ケースにまとめ、さらに形跡管理で1つずつの置き場所まで決めた点は、ジャストインタイムの考え方を工具類に当てはめた工夫といえる。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:使用頻度の高い計測器の選定、ケースへの形跡づくり、検査台への移動が主な作業で、大がかりな設備の変更は伴わない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:形跡があるため、計測器が欠けるとすぐに気づける状態にはなった。ただし、ケースの置き場や、使った後に戻す決まりは改善報告に記載がなく、忙しいときに検査台の上に置きっぱなしになる、といったきっかけで乱れが戻るおそれがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:ケースに入れる計測器の選び方、戻すタイミング、中身の見直しといったルールは、改善報告からは読み取れない。ルールを決めて標準化し、周知と点検まで進めれば、上の評価が見えてくる。「ルールがまだ整っていない改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、整頓の基本をしっかり押さえた改善です。特に次の3点は、ぜひ評価したいところです。
- 「使用頻度」で置き場所を決めた。すべての計測器を動かすのではなく、よく使うものだけを選んで検査台に寄せています。整理と整頓をつなげた考え方です
- 形跡管理で、1つずつの置き場所まで決めた。ケースにまとめるだけでなく、形跡で「どこに何を戻すか」を決めたことで、欠けている計測器がひと目で分かります。整頓の3定(定位・定品・定量)のうち、定位と定品を形で示した工夫です
- ジャストインタイムの考え方を工具類に当てはめた。専門家も、部品や製品だけでなく工具類にこの考え方を導入したことを、とても素晴らしい取り組みと評価しています
「取りに行く」をなくす改善は、毎日の検査で効き続けます。現場の皆さんが、自分たちの動きを見直したからこそ生まれた改善です。
あと18点でAランク。清潔と習慣を大きく上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。伸びしろが大きいのは、ともにC(8点)の清潔レベルと習慣(しつけ)レベルです。習慣をA(16点)に上げると56点、清潔もA(16点)に上げると64点で、まだBランクです。清潔を最高位のS(20点)まで上げると68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 習慣をAに | C(8点) | A(16点) | 56点 | B |
| 清潔もAに | A(16点) | A(16点) | 64点 | B |
| 清潔をSに | S(20点) | A(16点) | 68点 | A |
「戻し忘れ」と「置きっぱなし」を、起きる前に防ぐ
清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。計測器が見当たらなくなってから探す、ケースが散らかってから片づける、というのは「後追い」の対応です。「気をつけて戻す」に頼らず、構造・配置・表示・手順で、乱れそのものが起きない形にしていきます。たとえば、次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 使った計測器をケースに戻さず、検査台に置きっぱなしになる | 形跡に品名を表示し、検査が終わるたびに形跡の空きを見てから次の作業に移る手順にする |
| ケースそのものの置き場が決まらず、検査台の上で動いてしまう | 検査台の上に、ケースの定位をラインや枠で表示する |
| 使用頻度が変わり、使わない計測器がケースに残る | ケースの中身を見直す時期を決め、入れる計測器の基準を文章にする |
| 点検や校正の時期を過ぎた計測器が、手元で使われ続ける | ケースの中で、点検・校正の時期が分かる表示をする |
計測器の点検・校正や品質に関わる決まりは、品質・設備の担当者と確認しながら進めてください。専門家も、この考え方をほかの改善活動に活かしてほしいと期待を寄せています。ほかの検査台や作業場所にも展開すれば、職場全体の整頓のレベルが上がります。
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