この事例は、ネック工程だった検査の作業台を1台から2台に増やした清潔事例で、専門家評価はBランク(48点)。検査時間は1日8時間から4時間に半減した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清潔 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 設備(検査用の作業台) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 検査にかかる時間が1日8時間から4時間に。1日28,800秒→14,400秒、1カ月302,400秒、1年あたり3,628,800円の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
検査用の作業台は1台でした。検査は工場のネック工程になっており、1日に8時間(28,800秒)かかっていました。

改善内容(After)
検査用の作業台を1台から2台に増やしました。その結果、検査にかかる時間は1日8時間から4時間(14,400秒)になり、ネック工程の作業時間がこれまでの半分になりました。

専門家コメント
検査用の作業台を1台から2台に増設することで、大幅に生産性を向上させた事例ですね。ネック工程となっていた検査にかかる作業時間を、いままでの半分に減らす画期的な取り組みをありがとうございました。
さて、生産現場における生産性向上の対策は、4Mに施すことが基本です。4Mとは、人(Man)、設備(Machine)、材料(Material)、手法(Method)のことを表します。今回は、そのなかの「設備」に着目して改善をされたということになります。
今回、何人の人数が必要なのかが書かれていないので推測でしかないのですが、「設備」を導入しても「人」が倍必要となれば、生産性が向上したとは言い切れません。もし、今回の改善が設備を倍にして人も倍にしたということであれば、ぜひ、一人で2台の検査をこれまでと同じ時間内で実施するよう工夫をお願いできればと思います。
となると、最終的には検査の仕方である「手法」の改善に取り組む必要があるということがお分かり頂けるかと思います。この「手法」の改善こそが、本来の改善となります。ぜひ、一人で倍の検査ができるような手法の改善をよろしくお願いいたします。
なお、すでに一人で検査できているのであれば、何も申し上げることはございません。次回の報告時に、ぜひどうやって倍にしたのか、その手法を報告いただけましたら幸いです。では、次回の報告をお待ちしておりますね。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | S | 20点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:S(20点)
理由:ネック工程だった検査の時間が、1日8時間から4時間へと半分になった。改善報告の試算では1年あたり3,628,800円の削減で、工場全体の流れに効く成果。「非常に大きな成果」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:作業台の台数を増やして処理量を上げる方法は、4Mのうち「設備」を足す発想で、検査のやり方そのものには手を加えていない。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:検査の手順を変えずに、作業台を1台追加した改善。設置の手間はあるが、手法を見直すほどの工夫や試行は必要としない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:検査の時間は半分になったが、1台あたりの検査のやり方は変わっていない。生産量や人の配置が変われば、検査が再びネック工程になるおそれがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:2台での検査の進め方、人の配置、検査手順の標準化については、改善報告に記載がない。ルールが未整備の段階と判断する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
まず、この事例で一番大きいのは成果です。5項目の中で、成果の大きさは最高のS(20点)でした。特に次の点を、しっかり評価したいと思います。
- ネック工程に狙いを定めた。工場の流れを止めていた検査に手を付けたことで、改善の効果が工場全体に効いています
- 時間を半分にした。1日8時間かかっていた検査を4時間にしました。専門家も「画期的な取り組み」と評価しています
- 効果を数字で示した。1日・1カ月・1年の秒数と金額まで試算して報告しているので、改善の大きさが誰にでも伝わります
「時間がかかっている所を見つけ、すぐに手を打つ」という動きは、改善活動の出発点そのものです。この行動力は、次の改善でも必ず生きてきます。
あと18点でAランク。「手法」の改善で4項目を上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。成果はすでに満点なので、伸びしろは残りの4項目にあります。専門家の言う「手法」の改善、つまり一人で2台の検査をこれまでと同じ時間内でできるやり方を作れば、独自性と難易度が上がり、そのやり方を標準にすれば清潔と習慣も上がります。たとえば次のように上げると、合計68点でAランクに届きます。
| 上げ方 | 独自性 | 難易度 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | C(8点) | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 検査の手法を改善する | B(12点) | B(12点) | C(8点) | C(8点) | 60点 | B |
| 新しい手法を標準にする | B(12点) | B(12点) | B(12点) | B(12点) | 68点 | A |
なお、専門家も述べているとおり、すでに一人で2台の検査ができているのであれば、その工夫こそが「手法」の改善です。どうやって倍にしたのかを次の改善報告で示していただければ、評価が上がる可能性があります。
検査が再びネック工程になるのを、起きる前に防ぐ
台数を増やす改善は、生産量が増えれば、また台数を増やす「後追い」になりがちです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。検査が詰まってから手を打つのではなく、詰まらない仕組みを先に作ることを考えてみてください(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 2台にした分、人も倍必要になる | 一人で2台を扱える検査の手順と作業台の並べ方を考える(専門家の提案) |
| 生産量が増えて、検査が再び追いつかなくなる | 1件あたりの検査時間を測って表示し、詰まりそうなときに早めに気づけるようにする(例) |
| 検査のやり方が人によって違い、時間がばらつく | 検査の手順を写真付きの標準書にし、誰がやっても同じ時間でできるようにする(例) |
作業台の配置や設備に関わる変更は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。今回つかんだ大きな成果を、「手法」の改善と標準化で仕組みに変えれば、Aランクは十分に射程内です。
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