この事例は、倉庫の出荷品置場で不要なテレビ2台を廃棄した整理事例で、専門家評価はDランク(28点)。置場は広くなったが、放置を防ぐ仕組みが課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理 |
| 改善場所 | 倉庫(2Fの出荷品置場) |
| 改善対象 | 廃棄物(ブラウン管テレビ2台) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 2Fの出荷品置場のスペースが広くなった |
改善前の状態(Before)
2Fの出荷品置場に、不要になったブラウン管テレビが2台置かれたままになっていました。専門家によると、地上波のアナログ放送が終わったのは2011年で、そこから数えると約12年間、そのままになっていたようです。

改善内容(After)
不要になったテレビ2台を撤去しました。その結果、2Fの出荷品置場のスペースが広くなりました。長く置かれていた物を動かすのは、勇気のいる作業だったと思います。

専門家コメント
懐かしいブラウン管テレビを2台も廃棄した改善です。地上波のアナログ放送終了が2011年でしたので、実に約12年間もほったらかしだったようですね。
改善した担当者もやれやれ、と胸をなでおろしたのではないでしょうか。たいへん重かったでしょうに、ご苦労様でした。
しかし、これだけのスペースを12年間占有し続けたことに起因するロスも、大きく膨れ上がってきたと想像します。不要になった時点で処分したいけれど、廃棄するきっかけがない。だからこそ、定期的な5S活動を継続すれば、廃棄すべき物をどんどん処置できます。
ぜひ5S活動を継続して、廃棄すべき物が見つからなくなったら、そこからが新たなステップが開ける瞬間です。ぜひ頑張って5S活動を続けてください。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:約12年置かれていたテレビを撤去し、出荷品置場が広くなった点は評価できる。ただ、広くなった面積や、その場所を何に使うかは示されていない。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:不要な物を捨てるのは、整理の基本中の基本で、目新しさはない。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:重い物を運ぶ手間はあるが、方法や技術の工夫が要る改善ではない。撤去そのものは単純な作業のため、「数分でできた改善」に近いと評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:今回のテレビはなくなったが、「不要になっても捨てるきっかけがない」状態そのものは変わっていない。何かのきっかけで、別の不要物がまた置かれる可能性がある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:改善報告には、不要物を判断して処分するルールや、定期的に見直す取り組みの記述がない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「やるべきことをやった」改善です。上のランクに進むために必要なのは、もっと大きな物を捨てることではありません。不要な物が12年も残らない仕組みをつくることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、改善の中身(成果・独自性・難易度)を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。この2項目は、仕組みで上げられる項目です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。不要物の整理も、起きてから直す「後追い」になりがちです。置場が狭くなってから片づける。気づいた人が、思い立った時にまとめて処分する。これでは、時間がたてばまた同じ状態に戻ります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつける」「気づいた人が捨てる」に頼らず、不要物が長く居座れない配置・表示・手順にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 不要になった物が、そのまま置場に残る | 場所が足りなくなってから片づける | 不要になった物を一時的に置く場所を決め、「処分待ち」と表示する。持ち込んだ日を書いて、いつまでに判断するかを見えるようにする |
| 誰の物か分からず、誰も捨てられない | 気づいた人が悩んで放置する | 置場ごとに、物の持ち主(部署)を決めて表示する。持ち主が分からない物は、確認して処分する手順を決めておく |
| 置場が少しずつ物置き化する | 混み合ってから整理する | 置場の区画と、置いてよい物を表示する。区画の外に物が出ていたら、すぐ分かるようにする |
| 重い物・大きな物の処分が後回しになる | 時間ができたら処分する | 処分の方法(廃棄の手続き、運び方)をあらかじめ決めておく。廃棄や搬出の方法は、担当部署と確認する |
上の表は例です。大切なのは、右の列の発想で「この整理が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 不要かどうかを判断する基準を決めて、置場に掲示する
- 定期的に置場を見直す日(例:月に一度)を決めて、全員で一緒に確認する
- 新しく入った人にも分かるよう、処分の手順を周知する
次の改善報告で期待すること
専門家は、5S活動を継続して、廃棄すべき物を見つけ続けることを期待しています。
- 定期的に5S活動を行い、廃棄すべき物をどんどん処置する
- 放置されていた期間に生じていたロスにも目を向ける
- 廃棄すべき物が見つからなくなったら、次のステップに進む
次の報告では、「なぜ12年も置かれたままだったのか」にも目を向けた取り組みを期待しています。
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