この事例は、乱雑だった倉庫のダンボールを別の場所へ移し、製品棚4台とラインテープで一新した整理事例で、専門家評価はBランク(55点)。あと11点でAランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理・整頓 |
| 改善場所 | 倉庫(部材倉庫) |
| 改善対象 | ダンボール、製品を保管しているパレット |
| 専門家評価 | Bランク(55点。Bは46〜65点) |
| 改善の内容 | ダンボールを別の場所に保管/製品棚4台を設置/通路と各所にラインテープを貼付 |
改善前の状態(Before)
倉庫の奥では、ダンボールや、製品を保管しているパレットが乱雑に置かれていました。何がどこにあるのか、どこが通路なのかがはっきりしない状態です。
忙しい中で「とりあえずここへ」と置いた物が積み重なるのは、多くの現場で見られることです。誰かを責める話ではなく、置き場の形とルールがなかったことが原因です。

改善内容(After)
改善は、次の3つを一度に行いました。
- ダンボールを別の場所に保管した。製品と一緒に置く必要のない物を、この場所から外しました(整理)
- 製品棚を4台設置した。床に置かれていた製品の置き場を、棚という形で作りました(整頓)
- 通路と各所にラインテープを貼った。通路と置き場の境目が、誰の目にも分かるようにしました(整頓)

専門家コメント
改善活動ありがとうございます。部材倉庫の整理・整頓を実施した改善事例ですね。
改善前と改善後、大きく変化しており、ご苦労もあったと思います。改善活動お疲れ様でした。
■5S活動で変化を出すポイント
5S活動を実施する際は、小さな改善も必要ですが、今回の改善のように、一気に職場の管理方法、管理水準を変えてしまうことが有効です。
継続的な小改善は必要ですが、小改善の積み重ねでは、改善の成果が目に見えにくく、やがて5S活動が停滞してしまうことが多いです。
5S活動が停滞・失敗するケース:理想の職場を目指し、1点ずつ積み上げる方法では、5S活動の停滞を招くことが多い。
■5S活動を飛躍させるポイント
5S活動で成果を上げるには、初期段階で管理方法を変える大きな改善を実施し、管理水準(管理レベル)を引き上げたうえで、細部にこだわる小改善で積み重ねていくことが有効です。
5S活動を成功させるポイント:理想の職場(100点の職場)をイメージし、一気に80点の水準まで引き上げるよう活動する。その後、細部にこだわり、100点を目指すために1点ずつ積み上げる(維持継続させる)。
以上の点を参考に5S活動を進めてください。
5S改善評価:合計55点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 14点 |
| (2)改善の独自性 | B | 11点 |
| (3)改善の難易度 | B | 13点 |
| (4)清潔レベル | B | 10点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 55点 |
(1)成果の大きさ:A(14点)
理由:乱雑だったダンボールとパレットを片付け、倉庫の姿を大きく変えた(専門家も「大きく変化」と述べている)。ただし、効果の数値は改善報告に記載がない。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(11点)
理由:不要な物を別の場所へ移す、棚を設ける、ラインテープで通路を示す、はいずれも整理・整頓の基本的な手法。一方で、それを一度に組み合わせて職場の水準を引き上げた点は評価できる。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(13点)
理由:ダンボールの移動、棚4台の設置、ラインテープ貼りを一度に行っており、作業量は小さくない。専門家も「ご苦労もあったと思います」と述べている。所要時間は記載がないが、「標準的な時間でできた改善」の上側と評価する。
(4)清潔レベル:B(10点)
理由:棚とラインテープで置き場と通路の境目ができたため、同じ状況なら乱れは起きにくくなった。ただし、何をどこに・いくつ置くかの表示は改善報告に記載がない。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:ラインテープで置き場と通路を示したことは、守るべきルールの土台になる。ただし、置き方のルールの文書化、点検、周知の記述はない。「徹底すべきルールを設定した改善」の手前と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計55点のこの事例は、Bランクの中ほどにいます。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「一気に水準を変える」改善を実行した。専門家が5S活動を飛躍させるポイントとして挙げる「初期段階で管理方法を変える大きな改善」そのものです
- 整理と整頓を順番どおりに進めた。まずダンボールを外し(整理)、その後に棚とラインテープで置き場を作っています(整頓)
- 目に見える変化を出した。皆が「変わった」と実感でき、5S活動を続ける力になります
あと11点でAランク。清潔と習慣を1段階ずつ上げる
合計55点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと11点です。清潔レベルをB(10点)からA(16点)に上げると+6点、習慣(しつけ)レベルをC(7点)からB(12点)に上げると+5点で、合計は66点になり、Aランクに届きます。どちらか片方だけでは、Aランクに届きません。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | B(10点) | C(7点) | 55点 | B |
| 清潔をAに | A(16点) | C(7点) | 61点 | B |
| 清潔をA、習慣をBに | A(16点) | B(12点) | 66点 | A |
「また乱雑になる」を、起きる前に防ぐ
大きく片付けた職場も、時間がたつと乱れが戻りがちです。乱れてから片付け直すのは「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて置く」に頼らず、置き場の形と表示で、乱れが起きない状態を作ります。改善報告をもとに、次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 棚に何を置くかが曖昧になり、別の物が入る | 棚ごとに品名と置き場の表示を付け、整頓の3定(定位・定品・定量)を決める |
| 棚に入りきらない物が床に置かれる | 棚1台あたりの上限量を表示し、超えたときの置き場や連絡先を決めておく |
| ラインテープの上や通路に物がはみ出す | 通路と置き場のラインを色分けし、「通路には置かない」をルールとして掲示する |
| ダンボールが再びこの場所にたまる | ダンボールの保管場所と、たまったときの処分の基準を決めて表示する |
棚の固定や積載量、通路幅など、設備・安全に関わる内容は、設備や安全の担当者と確認しながら進めてください。表示とルールを写真付きの標準書にまとめ、点検日を決めれば、習慣(しつけ)レベルも上がります。
関連する5S活動の事例
同じく、職場の整理・整頓に関する事例です。



