この事例は、工具置き場まで取りに行っていたインパクトレンチを、作業台上の専用ハンガーで手元に置いた整頓事例で、専門家評価はBランク(52点)。作業の中断がなくなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(インパクトレンチ) |
| 専門家評価 | Bランク(52点。Bは46〜65点) |
| 効果 | インパクトレンチを取りに行くムダがなくなり、すぐに使えるようになった。1日平均18秒短縮×月20日で、1カ月あたり360秒の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
インパクトレンチは、工具の収納場所に置かれていました。使うたびに作業台を離れて取りに行く必要があり、そのたびに作業が中断していました。
1回あたりは短い時間でも、作業の流れが途切れることは、毎日の作業の中では気づきにくい「見えにくいムダ」です。

改善内容(After)
作業台の上に、インパクトレンチ専用の収納ハンガーを設置しました。これで、インパクトレンチを常に手元に置けるようになり、作業台の上で一連の作業が完結するようになりました。
改善報告の試算では、取りに行く時間が1日平均18秒短縮され、月20日で1カ月あたり360秒の削減です。

専門家コメント
インパクトレンチが工具収納場所に置かれていて、そのたびに取りに行くことで作業が中断していた状態を、作業台上に専用の収納ハンガーを設置することで常に手元に置けるようにした改善ですね。
この改善によって、作業中の中断がなくなり、作業の流れがスムーズになっただけでなく、インパクトレンチの置き場所が明確になったことで整頓状態も向上しています。まずはこの“見えにくいムダ”に気づいてくれたことに感謝します。
5Sの整頓では、「定置・定品・定量」が守られてこそ、効率的かつ乱れない職場環境が維持されます。
5S改善評価:合計52点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 52点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:作業中にインパクトレンチを取りに行くたびに発生していた中断とムダな動作を排除し、作業効率を向上させた点は評価できる。特に、作業台上で一連の作業が完結するようになったことで、段取りの簡略化と流れ作業の確立につながっている。ただし、改善の対象は特定作業の1工程に限定されているため、「満足のいく成果である改善」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:工具を手元に配置するという発想は、整頓の基本的な考え方であり、5Sの現場では比較的多く見られる改善。特別な工夫や困難な発想ではないため、「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:収納ハンガーの設置には位置調整や取り付け作業が必要であり、ある程度の手間はかかるものの、加工や設計を要するような難易度ではないと考えられる。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:工具の定位置が決まったことで、戻し忘れや置き場所の乱れが起きにくくなった。ただし、専用と明示されていなかったり、一時的に他の工具が置かれてしまうと再発の恐れがある。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:収納場所を設けたことで、使い終わったら戻すという行動が取りやすくなったが、それを徹底するためのルールや表示の有無が明確でない場合、「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- “見えにくいムダ”に気づいた。1回あたりは短い「取りに行く」動作を、毎日の作業の中から拾い上げました。専門家も、まずこの気づきに感謝しています
- 作業台の上で作業が完結するようになった。工具を使う場所に置き場を移したことで、段取りが簡単になり、作業の流れが途切れなくなりました
- 置き場所が明確になった。作業効率だけでなく、インパクトレンチの定位置が決まったことで、整頓の状態も良くなっています
- 清潔レベルがB(12点)。定位置が決まったことで、戻し忘れや置き場所の乱れが起きにくくなっています
「使う場所の近くに置く」は整頓の基本です。その基本を、自分たちの作業台で形にした点に価値があります。
あと14点でAランク。清潔をS、習慣をAに上げる
合計52点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと14点です。成果・独自性・難易度は今のままで、清潔レベルをB(12点)からS(20点)に、習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると、合計は68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | B(12点) | C(8点) | 52点 | B |
| 清潔をS、習慣をAに上げる | S(20点) | A(16点) | 68点 | A |
「ハンガーに別の工具が掛かる」を、起きる前に防ぐ
専門家が指摘するとおり、ハンガーが専用と明示されていないと、一時的に他の工具が置かれたり、戻し忘れが起きたりして、手元に置いた効果が少しずつ崩れていきます。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「戻すよう気をつける」に頼らず、誰が見ても専用と分かり、自然に戻せる形にしておきます。
専門家が挙げた「今後の改善ポイント」は、次の3つです。
- ハンガー部に「インパクトレンチ専用」と明示する
- 使用後は必ず戻すというルールを掲示する
- 他作業者にも同様の整頓を展開していく仕組みを検討する
未然防止の視点で考えると、ハンガーの形をインパクトレンチ以外は掛けにくい形にする方法もあります(例)。表示とルールの掲示に加え、作業の終わりに定位置を確認する手順を決めておけば、誰がやっても同じ状態に戻せるようになり、習慣(しつけ)のレベルも上がります。次の改善報告では、この「乱れない仕組み化」まで進めた内容を、ぜひ聞かせてください。
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