この事例は、工具ワゴンの工具や部品を、使用頻度と作業手順に合わせて整頓し直した整頓事例で、専門家評価はBランク(60点)。探すムダが減った。あと6点でAランク。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品、材料/部品(工具ワゴン) |
| 専門家評価 | Bランク(60点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 探すムダが減った。1日平均4秒短縮×月2日で、1カ月あたり8秒(8円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
工具ワゴンの中で、工具や部品が散らばっていました。どこに何があるかが決まっていないため、必要なものを探すのに時間がかかる状態でした。
工具ワゴンは、作業の途中で何度も手を伸ばす場所です。ここで探す時間がかかると、そのたびに手が止まり、小さなムダが積み重なります。

改善内容(After)
工具や部品を、使用頻度や作業手順に合わせて配置し直しました。よく使うもの、作業の順番で続けて使うものが、取りやすい位置に来るように並べ替えています。
改善報告の試算では、探す時間が1日平均4秒短縮され、発生する日が月2日で、1カ月あたり8秒(8円)の削減です。

専門家コメント
改善前は工具や部品が散らばって、必要なものを探すのに時間がかかる状態を、使用頻度や作業手順に合わせて整理整頓し直してくれた改善ですね。
作業効率の向上だけでなく、作業者のストレス軽減にもつながる、とても大きな改善です。
まずは問題を正しく捉えて、実際に配置を見直してくれたことに心から感謝します。ありがとうございます。
5S改善評価:合計60点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | A | 16点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 60点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:工具や部品が散乱していた状態から、使用頻度や作業手順に応じた整理整頓によって探す時間を削減し、作業効率とストレスの両面で改善された点は高く評価される。ただし、まだ定量的な「効果測定(例:探す時間が〇分短縮)」があれば、S評価(20点)も視野に入る。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:使用頻度や作業手順をもとに配置を見直すアプローチは、5S活動の基本に沿ったものであり、標準的な発想。そのため独自性は平均的と判断した。配置の中にユニークな工夫(例:マグネット+色別収納など)があれば、AやS評価につながる。
(3)改善の難易度:A(16点)
理由:現場の配置を見直し、実際に道具や部品の整理を行うには、事前の計画、現物の移動、関係者との相談など一定の時間が必要だったと考えられる。数十分では済まない範囲の活動であるため、A評価とした。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:整理整頓の実施までは進んでいるが、「今後も維持される仕組み」がまだ構築されていない状態。テプラ、輪郭表示、写真表示などによる「元の状態に戻すための仕掛け」があれば、再発のリスクを下げてA〜S評価に達する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:現時点では「整理整頓された状態」そのものが評価されているが、それを維持するルールや習慣化の仕掛け(標準化、ルールの掲示、声かけなど)が整っていないため、C評価となる。改善を定着させるには、「見える化」と「守る仕組み」がカギ。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- 「使用頻度」と「作業手順」という、はっきりした基準で並べ替えた。空いている所に入れるのではなく、使い方に合わせて置き場を決めたことは、整頓の考え方そのものです
- 成果がA(16点)。探す時間が減っただけでなく、専門家は作業者のストレス軽減にもつながると評価しています
- 難易度がA(16点)。現物を動かし、配置を考え直す手間をかけてやり切りました
- 効果を数字で報告した。1日4秒という小さな短縮でも、数字で残すことで、次の改善と比べられるようになります
あと6点でAランク。清潔と習慣を1段階ずつ上げる
合計60点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと6点です。清潔レベルと習慣(しつけ)レベルは、どちらもC(8点)です。それぞれをB(12点)に上げると、合計は68点になり、Aランクに届きます。成果・独自性・難易度は、今のままでかまいません。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 60点 | B |
| 清潔・習慣を1段階ずつ上げる | B(12点) | B(12点) | 68点 | A |
「元に戻らない」を、起きる前に防ぐ
専門家が次の視点として挙げているのは、このレイアウトが今後も維持される仕組みづくりです。せっかく並べ替えても、使ったあとに空いている所へ戻すことが続くと、ワゴンの中は少しずつ元の状態に近づきます。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「元に戻すよう気をつける」に頼らず、戻す場所が自然に分かる形にしておきます。
専門家は「誰が見ても、元の場所に戻せる」仕掛けとして、次の方法を挙げています。
- テプラで、工具や部品の名前を置き場に表示する
- 工具の輪郭を置き場に描き、空いていることが一目で分かるようにする
- きれいに並んだ状態の写真をワゴンに掲示し、見本にする
未然防止の視点で考えると、作業の終わりにワゴンの中を写真と見比べる時間を決めておく方法もあります(例)。戻し忘れがその日のうちに見つかり、乱れが積み重なる前に直せます。こうした戻し方をルールとして決め、皆が守る形にすれば、習慣(しつけ)も上がります。整理整頓された状態を清潔に保つために、ルール化・習慣化まで進めていければ、さらに高い5Sレベルになります。次なる改善報告も楽しみにしています。
自社の工具ワゴンで試すときの進め方(例)
この事例は、使用頻度と作業手順という2つの基準で、工具ワゴンの置き場を決め直した改善です。自社のワゴンで試すときは、次の順番で進めると、迷わず始められます。ここに書く手順は、進め方の例です。この改善報告に書かれた手順ではありません。
- まず、ワゴンの中の物を全部出して、使うものと使わないものに分ける。しばらく使っていないものは、ワゴンの外に出します。残す物が決まると、置き場の広さも決まります。
- 次に、よく使う物を、手を伸ばしやすい場所に置く。使う頻度が高い物ほど、取りやすい位置に置きます。迷ったら、数日間、使った物にだけ印を付けて数えると、頻度が見えてきます。
- 作業の順番で続けて使う物は、隣に並べる。作業の流れどおりに並べると、手を動かす距離が短くなり、取り間違いも減ります。
- 置き場所・物・数を決めて、表示する。置き場所(定置)、置く物(定品)、数(定量)を決めて、輪郭や名前で示します。ここまで進めると、次に使う人も同じ場所に戻せます。
5Sでいう「整頓」の、どこまで進んでいるか
整頓は、「定置・定品・定量」を決めて、誰でも同じ状態に戻せるようにする活動です。この事例は、使用頻度と作業手順で置き場を決め直した、「定置」の見直しにあたります。ここに、物の名前と数の表示(定品・定量)を加え、戻し方を決めていくことが、この記事で紹介した「Aランクに近づく次の一歩」です。5Sの流れで考えると、整頓で決めた状態を保つ仕組みを作るのが清潔、その仕組みを皆が守る標準にするのが習慣(しつけ)です。
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同じ工場の、工具や作業場所の置き方に関する事例です。
あわせて読みたい(工具・備品の置き方の事例)
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- 工具掛け網棚の作成(Aランク):工具の有無が一目で分かる置き方。ワゴンの外に置く場合の参考になります
- 小物引出しにポイントシールと一覧表(Aランク):引き出しの中の小物を、表示で整える方法です
- クッションの交換の簡略化(Aランク):使う物の準備の手間を減らす考え方です
- 材料在庫の削減(Aランク):置く量(定量)を見直す視点です

