この事例は、工場の機械横に置きっぱなしだった使わないシューターを、赤札を貼って処分した整頓事例で、専門家評価はDランク(24点)。放置されない仕組みが次の課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓(改善報告の分類。内容は不要物の処分) |
| 改善場所 | 工場(機械横) |
| 改善対象 | 設備(使用しないシューター) |
| 専門家評価 | Dランク(24点。Dは30点以下) |
| 効果 | 機械横に置きっぱなしだった使用しないシューターに赤札を貼り、廃棄処分した |
改善前の状態(Before)
機械の横に、使用しないシューターが置きっぱなしになっていました。専門家のコメントでは、躊躇なく処分できる対象で、数か月から数年、使われていなかったと考えられています。

改善内容(After)
使わないシューターに赤札を貼り、廃棄処分しました。機械の横から、不要な設備がなくなっています。

専門家コメント
使用していない物を処分した、シンプルな改善事例です。気が付いたことを、スッと行動に移す習慣をつけていただければ、こういった改善は増えますよね。今回に限らず、どんどん改善を繰り返していただきたいと思います。
そして、さらに考えていただきたいのは、そのシューターは、いつからそこに置きっぱなしになっていたのでしょうか、ということです。躊躇なく処分できる対象ですので、きっと数か月、あるいは数年、使っていなかったのでしょう。けれど、想像すれば、そのシューターも現役で活躍していた時代があったはずです。
同様に、今活躍している物も、いつかこのシューターと同じように放置される仕組みで、あなたの職場が動いているという問題があります。つまり、必要な物が不要にいつ変わったのか。その変わる瞬間に処分できる仕組みをつくるとしたら、どういった仕組みが最適なのか。定期的に不用品パトロールをする。定期的に赤札作戦をする。処分してもよいルールを設定する。など、いろいろ考えられると思います。
ぜひ職場のメンバーで検討して、最適なルールを設定してみてください。このシューターがいつまでも放置されない仕組みの構築を、検討してみてください。
5S改善評価:合計24点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 24点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:機械の横に放置されていた不要な設備がなくなった点は評価できる。ただ、効果の数値は示されておらず、1か所の改善にとどまる。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:使わない物に赤札を貼って処分するのは、整理の定番の手法。専門家も「シンプルの改善事例」と述べている。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:躊躇なく処分できる対象を、赤札を貼って処分する作業。特別な技術や準備は要らない。「数分でできた改善」に近い水準と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:シューターが長期間放置された原因への対策がない。ほかの不要な物も、同じように放置される仕組みのままで、「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:不用品パトロールや赤札作戦の定期実施、処分のルールなどの記述がない。今回の処分で終わっており、「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
気づいたことを、すぐ行動に移した点は、専門家も認めているところです。上のランクに進むために必要なのは、次の改善を見つけることではありません。物が「必要」から「不要」に変わる瞬間に、処分できる仕組みを作ることです。
点数で見る「上げ方」
24点のこの事例は、処分の作業そのものを変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 24点 | D |
| 習慣を1段階上げる | D(4点) | C(8点) | 28点 | D |
| 清潔・習慣をともに1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
清潔と習慣をそろって1段階上げれば、Cランクに届きます。専門家が挙げた「不用品パトロール」「赤札作戦の定期実施」「処分のルール」は、この2項目にそのまま当てはまります。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。放置された物を見つけて処分する「後追い」では、第2、第3のシューターが、また生まれます。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気づいた人が処分する」に頼らず、不要になった時点で、自動的に処分される流れにすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 使わなくなった設備が、機械の横に置きっぱなしになる | 気づいた人が処分する | 定期的に不用品パトロールを行い、不用な設備がないか確認する(専門家が挙げた方法) |
| 不要かどうかを判断する機会がない | 必要か不要か迷ったまま置く | 定期的に赤札作戦を行い、判断する機会をつくる(専門家が挙げた方法) |
| いつ処分してよいか、決まっていない | その都度、誰かに確認する | 処分してもよいルール(使わなくなってから、いつまで置くか)を設定する(専門家が挙げた方法) |
| 設備の入れ替えで、古い設備が残る | 残っていることに、後から気づく | 設備を入れ替えるとき、古い物の処分もセットで計画する(例)。処分の方法は、設備・安全の担当者と確認する |
上の表は、専門家が挙げた3つの方法を軸にした例です。職場のメンバーで話し合い、最適なルールを設定してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の気づきを、皆が同じように行うルールにします。
- 不用品パトロールと赤札作戦の実施日を決め、職場に掲示する
- 処分してもよいルールを決め、誰でも同じ判断ができるよう周知する
- 気づいたことを、すぐ行動に移した実績を共有する
次の改善報告で期待すること
専門家は、次の点を挙げています。
- 不用品パトロールを、定期的に行う
- 赤札作戦を、定期的に行う
- 処分してもよいルールを設定する
次の報告では、シューターがいつまでも放置されない仕組みを、職場のメンバーで検討した取り組みを期待しています。
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