この事例は、作業場所に空き袋の専用保管箱を置き、何度も運ぶムダをなくした整理事例で、専門家評価はBランク(46点)。1日平均で約7秒の短縮につながった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 材料/部品(材料の空き袋) |
| 専門家評価 | Bランク(46点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 空き袋を数回に分けて移動させるムダがなくなり、1日平均で約7秒の短縮(改善報告より) |
改善前の状態(Before)
作業で材料を使うと、空き袋が出ます。改善前は、この空き袋が一定数溜まった段階で、その都度、保管場所まで移動させる必要がありました。
空き袋は作業のたびに少しずつ増えていくため、1日のうちに何回かに分けて運ぶことになります。運ぶこと自体は、製品に価値を加える作業ではありません。それでも、溜まった空き袋をそのままにしておくわけにはいかないので、作業の手を止めて運ぶ、という動きが繰り返されていました。

改善内容(After)
空き袋を保管する専用の箱を作り、作業場所に置きました。作業中に出た空き袋は、その場で保管箱に入れていきます。作業が終わったら、保管箱ごと棚へ移動させます。
これで、空き袋を数回に分けて運ぶ必要がなくなり、移動は作業終了後の1回にまとまりました。改善報告では、1日平均で約7秒の短縮につながったとしています。

専門家コメント
改善活動ありがとうございます。空き袋を保管する専用箱を作った改善事例ですね。
改善前の状況では、空き袋が一定数溜まった段階で、適時、保管場所に移動させる必要がありました。
改善後の状況では、保管箱を作業場所に置き、作業終了後に保管箱ごと、棚に移動させればよく、ムダな移動の回数が減りました。
今回の改善は、付加価値を生まない歩行のムダ、移動のムダを削減するとてもよい改善です。
(歩行のムダや移動のムダ=付帯作業が削減された分、付加価値を生む本作業が増え、効率化、収益化に繋がります)
細かな改善ですが、ムダの削減を積み上げることで、職場の生産性が高まります。今後の継続的な改善を進めてください。
5S改善評価:合計46点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 9点 |
| (2)改善の独自性 | B | 10点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 46点 |
(1)成果の大きさ:C(9点)
理由:空き袋を数回に分けて運ぶムダがなくなり、1日平均で約7秒の短縮につながった。付加価値を生まない移動のムダを減らした点は確かな効果だが、1日あたりの時間としては小さい。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:B(10点)
理由:「専用の箱を作業場所に置き、まとめて運ぶ」という考え方は、運ぶ回数を減らす方法として現場でよく使われる。一方で、空き袋の移動を付帯作業として捉え、作業終了後の1回にまとめた着眼点は評価できる。「標準的に発想ができる改善」の下側と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:保管箱を作り、作業場所に置くという改善で、大がかりな設備の変更は伴っていない。箱の材質や作成の手間は改善報告に記載がない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:空き袋の入れ先が作業場所に決まったことで、空き袋が溜まって作業の邪魔になる、という状態が起きにくくなった。箱という「形」で入れ先を決めているため、同じ状況なら元に戻りにくい。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:「作業終了後に保管箱ごと棚へ移動する」という流れはできているが、それをルールとして決めた、周知した、という記述は改善報告にない。手順として標準化すれば、レベルアップできる。「ルール未整備」の段階と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
専門家も「細かな改善」と書いているとおり、一つひとつは小さな改善です。それでも、次の3点はしっかり評価したいところです。
- 「運ぶ」という動きをムダとして見つけた。空き袋の移動は、毎日当たり前にしている作業です。当たり前の動きの中にムダを見つけたこと自体が、改善の第一歩です
- 運ぶ回数を「1回」にまとめた。気をつけて早く運ぶのではなく、箱という形で、運ぶ回数そのものを減らしました。人の頑張りではなく、仕組みで解決しています
- 清潔レベルがB(12点)。空き袋の入れ先が作業場所に決まり、空き袋が溜まって散らかる状態が起きにくくなりました
専門家のコメントにあるように、移動のムダが減った分、付加価値を生む本作業に時間を使えます。1日約7秒でも、こうした改善を積み上げることで、職場の生産性は高まっていきます。
あと20点でAランク。習慣と清潔から積み上げる
合計46点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと20点です。一気に届く距離ではありませんが、順番に積み上げれば届きます。まず取り組みやすいのは、習慣(しつけ)レベルです。「作業終了後に保管箱ごと棚へ移動する」という今の流れを、手順として決めて周知すれば、それだけで点数が上がります。
| 上げ方 | 上げる項目 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | - | 46点 | B |
| 手順を決めて周知・点検まで進める | 習慣 C(7点)→A(16点) | 55点 | B |
| 空き袋が溜まりすぎない仕組みを加える | 清潔 B(12点)→S(18点) | 61点 | B |
| 同じ仕組みを他の作業場所・資材にも広げる | 成果 C(9点)→A(14点) | 66点 | A |
習慣と清潔を上げるだけでは、合計61点でまだBランクです。最後の一歩は、この仕組みを他の作業場所や他の資材の空き袋にも広げて、職場全体での成果を大きくすることです。
「空き袋が溢れる・箱が戻らない」を、起きる前に防ぐ
保管箱を置いたことで、空き袋の入れ先は決まりました。次は、乱れそのものが起きない仕組みへ進むタイミングです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。箱から空き袋が溢れてから片づける、箱がどこかへ行ってから探す、というのは「後追い」です。「気をつける」に頼らず、表示や手順で、起きる前に防ぎます。たとえば、次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 箱から空き袋が溢れ、周りに散らかる | 箱に「ここまで」の線を付け、入れる量の目安を決める(3定の「定量」) |
| 箱の置き場所がずれる・作業後に戻らない | 作業場所と棚の両方に、箱の置き場所を表示する(3定の「定位」) |
| 作業終了後の移動を忘れ、空き袋が翌日に持ち越される | 終業時の片づけ手順に「保管箱を棚へ移動」を1行加え、確認する |
| 棚に移した空き袋が溜まり続ける | 棚に移した空き袋の処分・回収のタイミングを決める |
箱の重さや棚の高さなど、運搬の安全に関わる点は、安全担当者と確認しながら進めてください。小さな改善を、ルールと表示で「続く形」にしていくことが、Aランクへの近道です。
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