【5S 整頓事例】切替用のピンを機械の下に置き運ぶムダをなくす|評価Bランク(工場)

この事例は、切替時に使うピンを機械の真下に置き、運ぶ動作をなくした整頓事例で、専門家評価はBランク(56点)。あと10点で、Aランクに届く。

項目 内容
改善の種類 整頓
改善場所 工場
改善対象 治具/刃具(ピン)
専門家評価 Bランク(56点。Bは46〜65点)
効果 運んでいた歩数(1日の往復平均)332歩。332歩=332秒=332円として、1カ月あたり3,984円、年間4万7,808円の削減(改善報告の試算)
目次

改善前の状態(Before)

切替のたびに、用意するピンを収納場所から運んで、持ち歩いていました。1回1回取りに行き、持って運ぶ動作が、毎回発生していました。

5S 整頓 ピン 収納場所から運んでいた 改善前 工場
【改善前】ピンを収納場所から運んでいた(1)
5S 整頓 ピン 収納場所から運んでいた 改善前 工場
【改善前】ピンを収納場所から運んでいた(2)

改善内容(After)

切替の位置を決めて、ピンを機械の真下に置きました。わざわざ運ばなくても、切替の場所ですぐに使えます。

運んでいた歩数は、1日の往復平均で332歩でした。改善報告の試算では、年間4万7,808円の削減です。

5S 整頓 ピン 機械の真下に配置 改善後 工場
【改善後】ピンを機械の下に置いた

専門家コメント

改善前は切替時に用意するピンを収納場所から1回1回運んで持ち歩いている状態でした。そこで切替位置を決めてもらい、機械の真下に配置することによって、わざわざ運ばなくてもよいようにした改善ですね。

無駄な動作に気づき、それをなくす工夫をしてくれた今回の改善、本当に素晴らしいです。ありがとうございます。このように「動線の短縮」は作業効率だけでなく、ミスや置き忘れの防止にもつながりますね。

次に考えてみてほしいのは、配置したピンが「誰が使っても同じように戻せる」状態かどうかです。例えばピンの種類ごとにラベルを貼る、置く場所の形を決めるなど、整頓の視点を取り入れると、より高い5Sレベルになります。さらに定期的なチェックや清掃ルールを決めれば、清潔を保つ仕組みも加わりますね。ぜひ今回の良い取り組みを次の改善につなげて、またの報告を楽しみにしています。

5S改善評価:合計56点(Bランク)

評価項目 評価 点数
(1)成果の大きさ A 16点
(2)改善の独自性 B 12点
(3)改善の難易度 B 12点
(4)清潔レベル C 8点
(5)習慣(しつけ)レベル C 8点
合計 B 56点

(1)成果の大きさ:A(16点)

理由:切替作業のたびにピンを取りに行くという明確なムダ動作があった状況に対して、配置の見直しにより、作業時間短縮・動線改善・置き忘れ防止という複数の成果を実現した。影響範囲も大きい。「やや大きい成果」と評価する。

(2)改善の独自性:B(12点)

理由:使用場所の近くに必要な物を置くという発想は5S整頓の基本。ただし、切替作業という特定業務に絞った動線改善と、ピンという小物の管理に着目した点は、現場ならではの視点がある。「標準的に発想ができる改善」と評価する。

(3)改善の難易度:B(12点)

理由:保管場所の検討・調整・設置を行うには、現場レイアウトの確認や関係者との調整が必要で、少なくとも30分〜1時間以上の作業が想定される。難易度は中程度と判断する。「標準的な時間でできた改善」と評価する。

(4)清潔レベル:C(8点)

理由:現在は「使いやすい位置への配置」までが実施されており、清潔を保つための仕組み(例:定置化、ラベル表示、置き忘れ防止対策など)は未整備と見られる。これらが加われば、A評価も可能。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。

(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)

理由:現時点では単発的な整頓改善として実施されており、ピンの種類や数量を管理する仕組み、使用後の戻しルール、定期チェックなどの「しつけ」要素までは至っていないようだ。今後のルール化・標準化により、評価アップが可能。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。

評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩

評価できる点

この事例は、整頓の基本を高いレベルで実践した改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。

  • 運ぶ動作そのものに気づいた。切替のたびに取りに行く動きは、当たり前になりやすいムダです。そこに気づいたことが出発点になりました
  • 使う場所に置いた。機械の真下に置くことで、運ぶ動作をなくしました。動線の短縮は、作業効率だけでなく、ミスや置き忘れの防止にもつながります
  • 成果がA(16点)。作業時間の短縮、動線の改善、置き忘れの防止と、複数の成果が得られました。1日332歩の動きがなくなる点も分かりやすい効果です

あと10点でAランク。清潔をA、習慣をBに上げる

合計56点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと10点です。清潔レベルをC(8点)からA(16点)に上げ、習慣(しつけ)レベルをC(8点)からB(12点)に上げると、合計は68点になり、Aランクに届きます。

上げ方 清潔 習慣 合計 ランク
現在 C(8点) C(8点) 56点 B
清潔だけをAに上げる A(16点) C(8点) 64点 B
清潔をA、習慣をBに上げる A(16点) B(12点) 68点 A

「戻し間違い」と「置き忘れ」を、起きる前に防ぐ

整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。機械の下に置いただけでは、使ったあとの戻し方が人によって変わり、種類が混ざったり、数が足りなくなったりします。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「使ったら戻すよう気をつける」に頼らず、戻し間違いが起きにくい形にします。

起こりうる不具合 未然防止の仕組み(例)
ピンの種類が混ざる 種類別のラベルや色分け(専門家のアドバイス)
戻す場所が人によって違う 定置を輪郭表示や型抜きで明確化する(専門家のアドバイス)
使ったあと戻されない 「使ったら戻す」ルールを周知・掲示する(専門家のアドバイス)
摩耗や汚れに気づかず使い続ける ピンの汚れや摩耗のチェックを含めた定期点検(専門家のアドバイス)

習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。ピンの種類や数量を決め、戻しルールと点検を決めて、他の切替場所にも広げてください。専門家も、こうした整備が進めば、5SレベルでA〜Sへのステップアップが現実的になると述べています。

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この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。16年間で900社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。5S-CONCEPTでは、これまでに5S活動の改善事例338件を評価(2026年9月27日時点)。

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